
世界へと挑戦する住友电工グループのアスリートたち 多田修平×伊藤优希×小池裕贵
住友电工グループはかねてからスポーツ振兴に力を注いできた。その中から、世界に挑むアスリートも辈出している。
ここでは陸上競技の短距離走で注目される住友電工の小池祐貴と多田修平、女子ラグビー日本代表の主力選手である住友電装 伊藤優希の3人が、世界と戦うアスリートとして、これまでどのように考え行動してきたか、率直に語り合った。
チームの力でトライを目指すラグビー、
自分の力で结果を出す陆上、それぞれの魅力
―――みなさんが、それぞれの种目を始められたきっかけと、その种目に惹かれた理由をお闻かせください。
伊藤 私には2歳上の兄がいるのですが、この兄の影响がとても强いですね。4歳から柔道を始めたのですが、それも兄が通っていた柔道教室に见学に行っているうちに、自分もやりたくなったからでした。柔道を続けながら、クラシックバレエや体操などの习い事も続け、中学に入って本格的に部活で柔道に取り组みました。全国には本当に强い选手がいて、大会で胜ち进むことはできませんでした。でも、元来负けず嫌いなので、练习を重ね、中学生最后の全国中学校大会48キロ级で準优胜を果たすことができました。
小池 私も兄がいるのですが、兄はサッカーをやっており、伊藤さんとは逆で、同じことはやりたくないと思い、小学生の顷、父亲とのキャッチボールから野球を始めました。その后、地域の野球少年団に参加。新しいコミュニティに入ったことで、竞争や胜ち负けを意识するようになったと思います。中学でも野球部に所属。最后は?エースで4番?でしたが北海道大会に出场することはかなわず、中学3年の夏に引退。休むこともなく练习に打ち込んできましたが、それは楽しかったからであり、十分満足した3年间でした。
多田 私は小学校时代、サッカーや水泳に亲しんでいましたが、元来走るのが好きでした。运动会でも走る种目には率先して出场していました。1位を取ることが好きだったのです。それで中学から本格的に陆上竞技を始め、高校ではインターハイに出场。小池さんは同世代ですが、当时は云の上の存在でしたね。私の転机となったのは大学时代で、学生主体で自分の练习メニューを考える机会を得たことです。それまであまり重视していなかった筋力强化の取り组みや、自分の特长でもあるバネ(跳跃力)を利かせた走りを磨くことで、高校时代に比べて记録は0.4~0.5秒アップ(100尘)。急成长した时期でした。大学卒业后、陆上ができる最适な环境、関西を背负って取り组める场として住友电工に入社しました。伊藤さんはかつて柔道を、小池さんは野球をやっていて、それぞれラグビー、陆上に転换していますが、どんなきっかけがあったのですか。
伊藤 それも兄の影響です。高校に進学した兄が取り組んでいたのがラグビー。その姿を見て、率直に楽しそうだなと感じたことで、ラグビーをやってみたいと思いました。進学した県立筑紫高校はラグビーの名門校ですが、それは男子ラグビー。女子ラグビー部はなかったので男子と一緒に練習し、地域のクラブチームに所属しました。みんなでトライという一つの目標に向かっていくこと、一人ひとりに役割があり、その役割を果たしていくことでトライが生まれる、そこにラグビーというスポーツの魅力があると感じています。2019年に住友電装に入社し、現在、住友電装がメインスポンサーを務める地域のラグビークラブチーム?MIE WOMEN’S RUGBY FOOTBALL CLUB PEARLS(パールズ)?に所属しています。

伊藤 優希
(いとう ゆき)
住友電装 総務部所属。1996年生まれ。福岡県出身。中学までは柔道選手で、全国中学校大会の48キロ級で準優勝を経験した。中学卒業後、柔道強豪校からの誘いもある中で、ラグビーの名門?県立筑紫高校に進学。ラグビーを始め、男子と一緒にプレイしていた。高校卒業後、日本体育大学に進学。2017年、ワールドカップアイルランド大会のアジア?オセアニア予選に出場し、本選出場に貢献した。2019年、住友電装に就職し、三重県の女子ラグビーチーム「MIE WOMEN'S RUGBY FOOTBALL CLUB PEARLS(パールズ)」に入団。女子7人制ラグビーの東京五輪日本代表の第2次候補選手に選出されている。ポジションはフォワード。ディフェンスと運動量が持ち味。
小池 中学の3年间、野球を十分楽しみました。そして高校では楽しいだけでなく、実绩を残せる手応えのあるものをやりたいと思ったのです。私は、身体能力は高かったものの不器用。だから道具を使わず体一つでできるものをと考えると个人竞技、そして陆上に行き着きました。高校1年生の时に出た初めての大会での100尘の记録が10.99秒。それがいい结果だったことを周囲から知らされて気付いたぐらい、陆上のことを知らずに始めた感じです。それから现在に至るまで、100尘、200尘に取り组んできましたが、结果が数字ではっきり出るところがこの种目の魅力の一つ。相手に邪魔される竞技ではありませんから、すべては自分の责任。やり切った上で、胜ちは胜ち、负けは负け、という洁さが自分に合っていると思っています。
多田 同感ですね。すべての结果は数字に表れ、自分が顽张る以外にいい结果は残せない。谁のせいにもできないスポーツである点が魅力ですし、试合に向けて多くの时间を费やすにもかかわらず、极めて短い时间で决着がつくのも面白いところだと感じています。お二人は、异なるスポーツを経験していますが、やはりそれは今に活きているのでしょうか。

多田 修平
(ただ しゅうへい)
住友電工 総務部所属。1996年生まれ。大阪府出身。中学から陸上を始め、関西学院大学進学後、2015年の関西学生陸上競技対校選手権大会で1年生ながら優勝した。翌2016年の同大会で大会新記録をマークして連覇を達成。2017年には大阪陸上競技協会の?OSAKA夢プログラム?のメンバーに選ばれ、アメリカ遠征に参加。その年のゴールデングランプリ川崎に出場、日本学生陸上競技個人選手権大会の100mで優勝。同年、世界陸上競技選手権大会で100m、4×100mリレーに出場、リレーでは銀メダルを獲得した。2018年関西学生陸上対校選手権大会100m決勝にて同種目では55年ぶりとなる大会4連覇を達成。大学卒業後の2019年、住友電工に入社。2019年世界陸上では日本代表として4×100mリレー決勝にて1走を走り、銅メダル獲得に貢献した。
伊藤 ラグビーも柔道もコンタクトスポーツであり、共通する部分はあります。ぶつかる局面や力の逃がし方など、体の使い方に柔道の経験が活きています。ただ、个人竞技と団体竞技という决定的な违いがあり、トライというゴールを実现するには、柔道とは异なる要素が大きいと感じています。
小池 私は伊藤さんと逆で、野球の経験はハンデとなっていました。野球で塁间を走る场合、足をはじめとした筋肉は前面を使う必要がありますが、陆上では背面の筋肉を上手く使わなければなりません。野球の走りのクセがなかなか取れずに苦労しました。しかも盗塁をはじめ野球は相手が嫌がる走りをする。陆上は真っすぐ素直に走るスポーツ。根本的に思想が违いますから、陆上をするために新たな考え方、锻え方が必要でした。

小池 祐貴
(こいけ ゆうき)
住友電工 人事部所属。1995年生まれ。北海道出身。高校進学後から本格的に陸上に取り組み、1年生の頃からすぐに頭角を現し始める。桐生祥秀選手との対決は同学年ライバルとして注目された。高校3年生の日本ジュニア選手権100mで全国タイトルを獲得。卒業後、慶應義塾大学に進学し1年生の時に世界ジュニア選手権で初めての世界大会を経験。日本人で史上3人目となる200mファイナルに進出、銀メダルを獲得した。大学卒業後は全日本空輸(株)に就職、その後住友電工に移籍。2019年7月の陸上ダイヤモンドリーグ?ロンドン大会100m決勝では、日本人で3人目となる9秒台(9秒98)をマークした。
世界の厚い壁を突破するため、
高い意识レベルで临むことの重要性
―――みなさん世界に挑んでいるわけですが、実际世界の舞台に立って感じることはどのようなことでしょうか。
多田 私は2017年に世界陆上竞技选手権大会で、初めて世界の舞台に立ちました。100尘や4×100尘リレーに出场。そこで感じたのは世界の壁の厚さです。たとえば100尘。前半は外国人选手と同等に走れるものの、后半に抜かれてしまう。それは衝撃的でした。相手はすでに减速しているのに抜かれる、という异次元のような出来事が起こっているわけです。当时日本でいい成绩を残していましたが、慢心している场合ではない、努力してトップ选手に胜ちたいという気持ちが强くなりました。
小池 多田さんが指摘したことは、日本の多くの短距离选手が感じていることです。そもそも短距离走に対する考え方、常识が外国人选手と日本人选手は违います。たとえば100尘。多田さんが言うように、日本人は前半戦えるが后半やられるのは昔からのパターン。それがなぜかと言えば、日本人は前半を60尘と考え、スタートダッシュを重要视するから。外国人选手からは、日本人はスタートの练习ばかりしていると、軽く笑いながら言われます。彼らにとってスタートは上手く出ることができれば翱碍であり、后半60尘が胜负、70尘あたりをトップスピードに持ってくる。日本人はそこですでに失速しているわけです。私は外国人选手に近い走りを试み始めましたが、そうしなければメダルは获れないと思いますね。伊藤さんも世界と戦っていますが、どう感じていますか。
伊藤 日本の女子ラグビーは、世界と大きな差があります。ニュージーランドやオーストラリアなどの强豪国の选手は、体の大きさ、スピード、テクニックなど、いずれにおいても私たち日本人选手を大きく上回っています。世界のベスト4であるニュージーランド、オーストラリア、米国、カナダとの戦いでは、圧倒的な差がついてしまう。点が取れませんし、ボールを取られれば一気にトライまで持っていかれてしまう。今、ワールドシリーズに参戦していますが、毎回世界の壁が厚いことを実感しています。小池さんは、世界と戦うためには何が必要だと感じていますか。
小池 ラグビーと陆上は异なると思いますが、自分の中で当たり前の基準を高いレベルにすることが大切だと思います。ファイナル(决胜戦)に残る可能性があるかもしれないというのが今までの限界でした。しかしそうではなく、选手自身がメダルを狙うところまで意识を持っていく必要がある。意识のみならず、トップレベルの选手の技术を肌で感じ、それに匹敌するところまで自分のレベルを上げ、限界を突破していく。私は梦と目标は违うものだと思っています。梦は语っていいことですが、目标は现実に达成できるものである必要があります。私の梦はいつか世界大会で优胜することですが、目标はメダルを获ることであり、そのためには意识を高いレベルに保つことが大切だと考えています。
多田 小池さんが言う、目标を持ってそれを现実に达成することは、私も重要なことだと考えています。高校时代から大きな目标を掲げ、それを达成するために何が必要かを考え、それを実践することを大切にしてきました。小さな目标をクリアしていくことで、大きな目标に辿り着ける。そのためにも小池さんが指摘した意识レベルの高さが求められると思っています。
伊藤 女子ラグビーの日本代表は、现実的にメダルを获る実力、世界と互角に戦えるレベルまで辿り着いていないのが现状です。ワールドシリーズなどの世界大会でベスト8入りを目标に掲げていますが、まだ実现していません。その中で、一日一日、课题を持って练习に取り组んでいます。もう一つ大切なことは、ラグビーはチームスポーツであり、メンバー间の関係性がとても大切だということです。メンバー选考でチームから外れる选手もいますが、そこでチームの雰囲気が悪くなると试合にも影响します。选手同士が思いやりを持ち、一つのチームとして强く结束することも、世界と戦う上で重要なことだと思っています。
